睡眠の仕組みを知る上で、もう一つ、「メラトニン」というホルモンとの関連を知っておきましょう。
メラトニンは、夜になると分泌されて眠りを誘う効果があることは知られています。このほかにも、メラトニンには、体温と脈拍、血圧を低下させるよう作用するので、覚醒と睡眠のサイクルをうまく調整して自然に眠くする働きがあるのです。
メラトニンは、体内でどのように生成されるのでしょうか。実は、メラトニンは神経伝達物質のセロトニンが分解されることで、分泌が促されます。そのセロトニンは、アミノ酸の一種のトリプトファンから作られ、バナナや牛乳などに含まれています。
アメリカでは、自然に分泌されるメラトニンに加え、外部からサプリメントして与えることによって、より良質の睡眠をとる方法として一般に普及しています。睡眠をしっかりとることができれば、メラトニンが脳の中で分泌されて深い眠りを得ることができ、若々しさを保つことができるとも言われています。
しかし、メラトニンは、正常な生体リズムを保っている限り、正常に分泌されてサプリメントとして取る必要はありません。自分自身の体のなかで、必要量がつくられます。
ところが、正常な生体リズムを保っていなければ、メラトニンが正常に分泌されません。また、残念なことに、メラトニンの分泌は年齢とともに減少してくるのです。したがって、高齢になると睡眠の質が浅くなりがちで、早朝覚醒の睡眠障害になる方が増えてきます。そのような場合には、メラトニンをサプリメントして補給する意味はあるのではないでしょうか。しかし、日本ではメラトニンは認可されていないため、購入することができないのが残念です。