妊娠すると、昼間でもとても強い眠気に襲われることがよく知られています。それは、子孫を残すために女性に備わった本能とでも言うべきでしょうか。
妊娠するということは、子孫を残すための第一段階を乗り越えた状態で、次にやらなければならないのは、胎内で大事な命を育てることです。したがって、妊婦としては、最大のエネルギーを必要とする出産に備えなければいけません。そのため、妊婦の身体は、本能的に、無駄なエネルギーを使わないようにできているのです。つまり、妊婦の脳は、できるだけ体を動かさないようにして、休ませようと仕向けるのです。そのため、強い眠気を与えているといわれています。
妊娠に関する女性ホルモンは、睡眠とおおきく拘わっています。妊娠を準備するためのエストロゲンと、妊娠を成功させて状態を保つためのプロゲステロンがありますが、排卵後は、プロゲステロンが増えています。プロゲステロンには、眠気を誘う作用があるので、月経前の一週間は強い眠気に襲われます。
また、妊娠中のこれらのホルモンは、つぎのように働きます。まず、妊娠3ヶ月まではプロゲステロンが分泌されて昼間から強烈な眠気に襲われます。そして、妊娠6ヶ月からは次第にプロゲステロンは減少しだし、妊娠9ヶ月では、逆にエストロゲンが増えてくるのです。これにより、出産前は眠気を感じなくなり、なかなか眠れなくなったり、熟睡できなくなるのです。
出産前の一種の不眠状態です。