いびきも睡眠障害と関係があります。まず、いびきの仕組みをみてみると、睡眠中は舌の筋肉や喉の奥の筋肉が緩むので、これによって気道が狭くなります。そして、軌道が狭くなると、呼吸による空気が早く流れて、口内の軟部組織が振動し、「いびき」となって音が発生するのです。
一晩の間に一回はいびきをかく人は、60代の男性で60%、女性が45%だそうです。年齢が高くなるほど、いびきをする人は多くなります。また、非常に身体が疲れているとき、お酒を飲み過ぎたとき、鼻炎や扁桃腺炎などの病気のときもいびきをかきやすくなります。
いびきは、場合によっては周りの人に迷惑となることもあるので、いびき対策用品がドラッグストアで販売されていたりします。何も特別なものを使わない方法もいくつかあります。あおむけで寝ると気道が狭くなるので、横向きに寝るようにする、また、気道を確保しやすくするために高めの枕にするのも効果的です。また、肥満気味の人は軌道が狭くなりやすいので、生活習慣を見直してダイエットをしたり、お酒も適度に飲む程度に抑えることが重要になります。
最初に書きましたように、いびきも睡眠障害と関係があります。それも、いびきが関係する場合には、危険な場合があるので要注意です。それは、既に有名になっていますが、「睡眠時無呼吸症候群」という睡眠障害です。文字通り、睡眠時に無呼吸状態が発生する病気で、寝ている間に10秒以上の無呼吸の状態が続き、それが1晩に30回以上発生する病気です。
睡眠時無呼吸症候群であるかどうかを見る一つの症状の目安は、大きないびきをしたあとに、急にいびきが止まって無呼吸の状態になり、そしてその後、「ヒュー」という空気が抜けたような音がしたり、「グググッ」というような大きないびきをすることです。もし、このような症状が見られたら、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
この病気は、様々な病気に関連します。たとえば、無呼吸の状態では、酸欠状態にあるわけですから、動脈硬化や高血圧などの原因になり得ます。また、心不全や脳梗塞などの重大な病気になる可能性もあるので、早めに睡眠外来を受診することをお薦めします。