睡眠障害で悩んでいる人の中には、夜寝ようとしてもなかなか寝られず、その分、朝起きれず、昼頃や夕方に起きたりする人がいます。これは、生体リズムが正しく働いていない状態で、概日リズム睡眠障害といいます。特に、時間が後にずれたまま元に戻ら無い状態、あるいは昼夜逆転してしまっている場合を、睡眠相後退症候群と言います。
概日リズム睡眠障害の中には、他にも、異なるタイプの時間のズレ方をする症状がありますが、一番多いのがこの睡眠相後退症候群で、概日リズム睡眠障害といえば、この症状を意味して話をしている方も見られます。
概日リズム睡眠障害は、現代社会の特徴で、社会構造の変化、24時間社会、携帯電話とゲームの急速な普及などが、その要因と言われています。
ビジネスの世界では、益々激化する競争により長時間労働となり、職場が厳しいストレスの場と化し、家に返っても脳の緊張が解かれないでなかなか寝られない、または、寝ても眠りが浅くて脳が休まらずに疲れが取れず朝起きれない、という具合に徐々に概日リズム睡眠障害になっていく傾向が見られます。
深刻なのは、子供の概日リズム睡眠障害です。夜遅くに塾から帰宅し、自分の携帯電話を買い与えられ、ゲームも加わって夜更かしする子供が増えたため、概日リズム睡眠障害で悩んでいるのは、子供の世代まで広く広がっているのです。子供が睡眠障害や不眠になるということは、健全な成長が出来るわけがありません。
このように見ていくと、家庭の中では大人も子供も夜型生活になり、生活時間帯が後にずれて、「朝起きれない」と言って困っている人たちが急速に増えてきていることがわかります。日本の社会は、今や社会全体に睡眠不足、不眠の傾向が漂う不健全な社会現象が漂っているわけです。まさに、概日リズム睡眠障害の社会といっても過言では無いかもしれません。
しかし、行政においても睡眠や心の健康の対策は取っているようですが、うつ病や自殺が激増している結果を見ると、成果が現れていないのが実情です。何一つ不自由のない日本の社会にあって、根本的なところが揺らいでいる感がぬぐえません。